2021-10-31 ライム、ブラムリー＆ラムレーズンマーマレード

凝った感じのジャムはあまり作らない方針なんだけど、それは作ってみるとなんとなく「お店にあったら素敵だけど自分で作らなくてもいいな」と思ってしまうからである。自分で作るジャムとしては、基本的に果実のフレッシュな風味を前面に推していきたいと思ってる。しかし、紆余曲折を経てなんだかんだ凝った感じに落ち着いてしまう、ということもあるにはある。

以前にりんごジャムにライム果汁を搾ったら美味かったという経験から、マーマレードとしてライムとりんごを使ったらどうか、という思い付きがあった。ライムとラフランスは以前から作っていて、それが美味いのはわかっていたので、同様の方針でできるだろう。

と思って作ったライム＆ブラムリーマーマレードがこちら。

ブラムリーをつかったのは、おしゃれかなと思って。ただ、結果的には非常に崩れやすいブラムリーと固めのライム果皮の食感のバランスが悪く、またどちらも酸味が強いために仕上がりも酸味が勝ってしまう。まあナシではないが、どうもあっさりしすぎるというか、なんか納得いかない仕上がりとなった。甘くて崩れにくいりんごを使えば、味も食感ももう少しまとまったのではないかと思う。

しかし、ブラムリーがまだあるのでブラムリーを使うのである。手元にある材料は何かしらに使わなければならないというのは、ジャム煮の業である。まあ、必ずしもジャムにする必要はなくて、ケーキ作るとかパイにするとかいろいろやりようはあるのだけど、それを考えるのも面倒なので…

とりあえず、何かしらの材料なりを追加しない限り、ライム＆ブラムリーのバランスの悪さは解消しそうにない。

何か、ほかの柑橘を加えるのか。よくある風味づけとしては、洋酒がある。よくレシピで見るのはキルシュやグランマニエ、英国展で買ったマーマレードではオレンジ＆りんごにブランデー、ライムならテキーラっていうのはあった。ただ、わざわざ買いに行かなくても手元にある何かでできないかな…あ、これ…この、妻が数年前に余ってるレーズンと余ってるダークラムを瓶詰めして放置してあったラムレーズン…！これだ！ライムとりんごとラムレーズン。ライムとりんごとラムレーズン！これは美味くなる予感しかない。

基本的な作り方はライムとブラムリーのマーマレードのままで、ライムは柔らかくするために長めに茹で、砂糖は全体の70％を加える。追加の検討事項はラムレーズンとダークラムをどのタイミングでどれだけ入れるのか。

とりあえずライム＆ブラムリーの工程がすべて終わった段階で、りんごの10％を目安にレーズンのみを鍋に投入して煮立てる。

さらに煮沸消毒済みの瓶にレーズンを漬け込んだダークラムをティースプーン2杯ほど入れる。

そうです、ダークラムを鍋にいれて煮たてずに、先に瓶に入れておき、そこに出来上がったマーマレードを注いで蓋をすることで、アルコールを含む香りを瓶に閉じ込める手法。今回はアルコールを残したい。

いちど蓋をして煮沸し、ためしに開けてみると…これはちょっと、かなり良いな。香りがたまらないし、味としても深みが加わってバランスが取れた。レーズンが入るのでライムが多少固くても食感は気にならない。

強いて言えば、もっと酒が強くてもよさそうなのと、レーズンが見た目的に少ないのでこちらも少し増やしたほうがよさそう。

というわけでレシピを調整して本番。

小玉のライム5個に大玉ブラムリー1個、レーズンはりんごに対してではなく全体量の10％、ダークラムを瓶にティースプーン3杯入れた。

すこし色が暗く仕上がったけど、まあダークラムを多く入れればそうなるでしょう。これは逆に「ダークラムが入ってる」雰囲気があって良いとも言える。

レーズンの見た目のバランスも悪くない。ライムを薄く切ったせいで屑がすこし見えているのが反省点ではあるけど、レーズンのインパクトで誤魔化されるかな…。

というわけで、不可抗力で凝った感じのジャムを作ってしまった。こういう「オシャレジャム屋に置いてそうなジャム」は自分で作るもんじゃねえな、と常々思ってるのだけど。

それにしても美味いのでまた作りたい、と思いつつ、材料がライムもブラムリーも簡単には手に入らないし、例のたまたまあったラムレーズンを手配しないといけないので、同じものを同じようにつくるのは難しそう。そういう部分での制約こそ、凝ったジャムの難しさではあるな。