煮るよ。

#煮るよ

2022-04-27 いちごジャム

「いちごだけは煮る」っていう人はけっこう多い。

普段はジャムなんかやらないけど、いちごのシーズン、特に4月下旬〜5月にかけて安いいちごが出回る時期に大量購入して煮る。こういうのは、いちご以外の果物にはあんまり見られない現象だと思う。まあ、定量化したわけじゃないというか、インスタの「#手作りジャム」タグを追いかけてるだけの印象だけど。

印象ついでのわたしの仮説では、人類には本能的に「果物を煮て瓶に詰める欲」が備わっていて、一定の条件を満たすと煮てしまう習性がある。条件とは要はコストとベネフィットであり、手に入れるコストや作業コストがじゅうぶん低く、そして当該ジャムを得ることのベネフィットが大きければ、煮る行動がみられるようになる。当たり前っちゃ当たり前か。

いちごは「どこでも」「安く」手に入り、「簡単に」ジャムを作ることができる。そして出来上がったいちごジャムはめっちゃ赤くてきれいで、めっちゃ美味しい。つまり大変に「煮る行動」の条件が整いやすいのが、いちごである。

りんごは安いけどちょっとめんどくさい、ブルーベリーは楽だけどちょっと高い、マーマレードは見た目に美しいけどとても手間がかかる。すももなんかは比較的安くてどこでも売ってて簡単で美味しいしソルダムジャムとかめっちゃきれいなのでオススメなんだけど、結局のところ「いちごジャム」の王道感には勝てないのである。ていうか人類、いちごジャムに何か特別な感情がありますよね?

 

たくさんの人が作るいちごジャムなので、レシピも多様である。多様かつ、だいたいどんな作り方をしても美味しいのがいちごジャムのすごいところ。一応、レシピを分類する大きな軸としては、「いちごを潰すか潰さないか」「砂糖をどれくらい入れるか」が考えられる。

自作ジャムだと「いちごゴロゴロ」「砂糖控えめ」が選択されがち。果肉感が強く、いちごのフレッシュさを詰め込んだ仕上がりである。見た目としては透明感のあるいちごシロップの中に果肉が浮いている感じで素敵。いわゆるプレザーブスタイルというやつか。

ただ、使おうとするとシロップが垂れ、トーストから果肉が転がって服を汚すので、個人的には苦手。垂らさないように気をつけろと言われると返す言葉もないが、言い訳すると、子供が使うことを考えて(いちごジャム、子供に断然人気なので)避けられるトラブルには対処しておきたいのである。

なので、わたしのいちごジャムは、いちごをわりとしっかり潰して、砂糖は多くして粘度を上げる方向性。人呼んで「ただのいちごジャム」である。

一時期は他から抽出したペクチンを使ったりして、より市販ぽいいちごジャムを目指しもしたが、さすがに何やってるかわからない感が強かったので、今はごくシンプルなレシピを採用してる。

つまり、いちごを洗ってヘタを取って潰してグラニュー糖を入れて煮る、基本それだけ。グラニュー糖は多めの70%を量り、3分の1をはじめに加えて火にかけ、煮詰めながら順次3分の1ずつ加えていく感じ。強めの火で短時間で煮ていくようにすれば、色もきれいだし、砂糖が多くてもいちごの風味は損なわれない。

 

f:id:uncountable:20220502011111j:image

 

今回は栃木県産とちおとめ使用。不揃いで安かったので。

いちごジャムには新鮮ないちごを買って使うべきだけど、不揃いなのは問題ないのでお得に利用したい。

 

f:id:uncountable:20220502011348j:image

 

いちごをマッシャーで潰して砂糖と混ぜたところ。けっこう頑張って潰してます。実がバラバラになるくらいに潰さないと、仕上がりで潰した雰囲気が出ない。いちごは煮溶けることがなく、潰し具合がそのまま仕上がり具合になるので。手でやったりした方が早いかもしれない。

このくらい潰して砂糖を多めに入れると、ペクチンを添加して固めなくても、けっこう粘度が出てジャムっぽい感じになる。さらに強く煮詰めたらかなり固くなるとは思うけど、その辺は風味とのバランスかなあ。オーブンドライするレシピなんかは、たぶん煮詰める時間を短縮しつつ濃度を上げる目的でしょう。

 

あと、いちごジャムは美しくなくてはいけないので、灰汁の泡をちゃんと取り除くのが大事。ただ、最後どうしても残るので、火を止める直前に混ぜるのを止めて煮立て、泡を表面に浮かせてから火を止めて、ヘラで泡を1箇所に集めておいて、最初にその部分を自宅用なり味見用として別に取ってしまうと、残りの瓶がきれいにできる。豆知識。

いや、全部自宅用じゃない人の方が少ないかもしれないけど、それでも並べるならきれいな瓶のほうが気分が上がるよね。

 

あ、今回はキルシュを入れる。

 

f:id:uncountable:20220502012927j:image

 

小さじ1だけ入れて煮立ててアルコールを飛ばしてできあがり。風味に奥行きがでる、はず。

 

f:id:uncountable:20220502012817j:image

 

こんな感じのできあがり。

赤がきれい!この深く鮮やかでツヤのある赤は、やっぱりいちご以外では作れない。いちごがジャム四天王の筆頭に君臨し続ける所以である。ただし、赤色は保存するうちに褪色してしまうので、きれいな色を愛でるなら早めに食べた方が良いです。

そういえば、頑張って潰したわりには見た目にけっこう実残りがある。まあ、このくらいは手作り感が出て良いか。逆に、けっこう頑張って潰してもこのくらいは実が残るので、ごろごろいちごジャムが良いという人でも、ある程度潰してあげてもいいと思う。半分取り分けて半分はしっかり潰すとかでもいいし。

 

ところで、最近買ったこのレードル(上の写真のやつ)がすごく良い。小ぶりで、その割に深さがあって、注ぎ口が丸くなってて、ジャム瓶に注ぐために作られたかのような(たぶんそう)使いやすさ。

これ↓

www.prokitchen.co.jp

 

見た目もかわいいし、良い買い物。

 

あと、宣伝(?)ついでに、この、シリコン手袋。

 

f:id:uncountable:20220502013622j:image

 

これも最近買ったんですがめっちゃ便利。手のひら側にトゲトゲがついてて直接触れないので、熱いものも持てる!とげとげ付いてないところは普通に熱いのでお湯に手を突っ込んだりはできないけど、煮沸した瓶を鍋から引き上げるくらいならできる。あと、ジャムを垂らして汚しても水でサッと流せば良いのは、布巾やミトンに比べても良いところ。

このシリコン手袋に上記の横口レードルを併用すれば、なんと熱い瓶を手に持ちながらレードルで直接瓶に注げる!瓶詰めにはいままで広口の漏斗を使ってたけど、もう不要!作業効率が段違い!ジャム煮のみなさんぜひ!