煮るよ。

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2021-7-17 あんずジャム

あんずの花が咲く4月に、産地である千曲周辺で霜が降りたと聞く。近年続いてる霜害での不作が今年も来るかとやきもきしていたが、今年は大騒ぎするほどのことにはならなかったようで何より。もう花が終わった時期だったのかな。


今年は「山形3号」という品種を近所の八百屋で購入した。

あんずは、これがまた、欲しいものを狙って買うのがなかなかに難しい果物である。産地に赴いて生産者から直接なり買えばいいのだが、なかなかそこまではコストかけられないので、近所の店舗で売ってるものを買うか、通販か、というのが現実的である。しかし、あんずの時期は2〜3週間しかない中で欲しい品種が店に並ぶ保証はないし、なんならその辺のスーパーでは品種なんか不明だったりすることも多い。じゃあ通販か、となるが、じつはこちらも予約販売では「品種指定不可」であることがほとんどで、かと言って予約しておかないと売り切れてしまうことが多い。いちばん確実なのは交通会館マルシェに出るあんずだけ売ってる店で品種聞いて買う、なんだけど、これはこれで時期を狙うのが難しい(毎週行けば良いのだけど)。

ジャムを煮るなら「信州大実」あたりがいちばん向いてると思ってるのだけど、そういうわけで簡単には手に入らないのである。

というわけで、そのときにその八百屋では山形3号しか売ってなかったから山形3号を買ったという次第。山形3号、調べると、平均的な大きさは60gであんずとしては中程度(信州大実は80〜100gほどもある)、甘味もあるが酸味が強く加工向き、とのこと。ジャム用としてはなかなか良さそう。


あんずジャム作りは追熟が9割である。いや、上記を考えると、追熟が5割、調達が4割か。まあとにかく追熟が大事。

きちんと熟したほうが香りが良いし、きれいに色づくとジャムの発色も良い。青い部分が残ると仕上がりの色がくすんでしまうのだ。追熟なんて放置して待ってればいいかというと、ある日とつぜん傷んでしまったりするので、気は抜けない。ひとつひとつ様子を見ながら室温に置いたり野菜室に入れたり、表面のうぶ毛を撫でてはかわいいかわいいと言って過保護に育ててる。

今回けっこうきれいにできたのでは。


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あんず煮るのは簡単で、切って砂糖入れれば水が出てくるので火にかける、だけである。

今回砂糖はグラニュー糖を70%入れた。いうほど酸味が強いわけでもなかったけど、甘味も弱い、というかあまり味がしなかったので。

種を取ったあんずにグラニュー糖半量をまぶし、しばらくおいて水分が出るのを待ってから火にかける。というのがたいていのレシピ。しかし、経験上、その「水分の滲出を待ってる間」に水分が変色してしまう気がするので、砂糖を加えたらすぐにヘラで潰して水分を搾り出す。未熟で固いとやりにくいかもしれないので、やっぱりここでも追熟が大事。


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潰すことで時間をおかなくても水分が出てくるので、すぐに火にかけて、グツグツして灰汁をひととおり掬ったら一度火を止めて馴染ませる。残ってる実は潰す。

砂糖の残りを加えて溶かしてまた火にかけて、一煮立ちするくらいでもうできあがりでいいと思うけど、味見すると酸味が不足なのでレモン汁を足した。


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やはり、このやり方の方がハッキリしたきれいな色に仕上がりますよ。

若干、全体の色馴染みが悪い(実の部分が少し白っぽく残って見える)印象はあるけど、まあ瓶詰めして置いとけばたぶん馴染むと思うので問題ないでしょう。