2022-02-26 夏みかんマーマレード
ペクチンを加熱する際の挙動として、pH4で最も分解しない、というのは以前書いた。それより低いと加水分解、高いとβ乖離による分解が進む、らしい。
ペクチンは分解してくれないと果皮が柔らかくならない気もするが(果実の「固さ」を作ってるのは主にペクチンなので)、もしかすると、茹で汁中のペクチンがあまり分解するのもゼリーが固まらない一因なのかもしれない。
前回は考えるのが面倒で工程に取り入れるのを見送ったが、今回はこの点をきちんと検証しておきたい。ペクチン量が多ければそんな心配しなくても良いが、ここまで夏みかんを煮ている感じからすると、そんな心配もしたくなるペクチン量のようなので。
具体的には、刻んだ果皮の3倍の水に果汁を足してpHを4程度に調整し、火にかけて沸いたところに果皮を投入する。ワタは別の鍋に煮出して、煮汁を後で加える。回りくどいなあー。
pHは水素イオン濃度の指標なので、煮詰めると水素イオンも煮詰まって即ちpHも下がる。これを避けるため、極力煮詰まらないように蓋をして茹で、水が減るようなら都度足す。
どうやら果皮を加えて茹でるとpHが上がるようなので、果汁を追加して調整。
といった、まあ手のかかることをして1時間茹でたが、果皮がまだちょっと固い。以前は1時間程度で柔らかくなったと思ったけど…やっぱりpH4効果だろうか。伊達じゃねえな。
そこからはワタの煮汁も加えて煮詰めながら、合計で2時間まで茹でた。まあ固さとしては及第点。時間のわりには固いと思う。アルコールでテストする限り、茹で汁のペクチンはおそらく十分。
その後は以前と同様に、グラニュー糖と果汁を順次加えて糖度が上がるまで煮詰める。結果的に加えたグラニュー糖は75%となった。
しかし、さんざん理屈を捏ねた割には、あまり良い感触はない。なんか、根本的に考え方を誤っている気すらしてきた。
という予感は的中して、やっぱりきれいに固まらない。瓶の見た目はいいんだけどねー。
もう、何も考えずに勢いで煮た方がうまくいくのでは。