煮るよ。

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2022-01-08 レモン&キウイマーマレード

マーマレードには柑橘以外の材料を合わせて使う「ミックスマーマレード」というジャンルがある。というか、マーマレードアワードのカテゴリーのひとつである。

もちろん、なんでもかんでも混ぜて煮れば、何かしらのミックスマーマレードは出来る。そしてそれがけっこう美味かったりもする。しかし「材料を混ぜる」というのはジャム煮においてけっこう難しい作業なのである。単純に材料の種類だけ手間が増えるのもあるが、それ以上に考えるべきことが増える。

材料の割合だ。

たまたま家に余ってたこれとこれ混ぜちゃえ〜っ!というのは大いにアリで、そんなときは割合なんか成り行きで構わない。しかし、ひとたびこだわり出すと、奥が深いというか、めんどくさいというか、食感のバランスを取るための刻み方やらペクチン量や酸のバランスも気になるし、大きさもバラバラなので個数比は無意味だし、そもそも材料の果物の味が毎回違うし、これさえ守れば完璧な黄金比レシピ!」みたいなものが存在しないのである。だから、お店で売ってるジャムでミックスのやつは、何かしらのこだわりや試行錯誤が反映されており、たいていとても美味しい。少なくともその店の思想を物語ってくれるはずだ。

 

じゃあミックスのジャムの自作なんて、と諦めるのはまだ早い。ミックスのものを自作するうえで間違いないのは「どんな比率で作っても美味しいやつ」である。そして私が過去に作ったもので自信を持ってお勧めできるのが、「いちご&ブルーベリー」と「レモン&キウイ」。特にレモンキウイは普通あんまり食べたことないこともあってか、たいへんに評判が良い。

たいへんに評判が良いので私もたいへんに嬉しくなって調子に乗って毎年作ってるラインナップである。

 

レモン&キウイ、どんな作り方でも味は良いというチートなカップリングではあるが、いちおう4〜5年くらい作って安定したレシピになってきている。

ただ、名前と見た目だけを理由に昨年からグリーンレモンを使ってる。きれいな緑色のマーマレードが入った瓶に「グリーンレモン&グリーンキウイ」というグリーングリーンなラベルが貼ってあったら素敵じゃない?との思い付きだ。しかし、グリーンはきれいに色を残すのが難しく、またグリーンレモンの果皮の固さが課題であった。昨年の第3回マーマレードアワード日本大会では銅賞。

 

そして今年こそはとグリーンレモンをお取り寄せして、何回か試作したものの納得いかないまま時は経ち、グリーンレモンがほとんどきれいなイエローになってしまったのが今回。

 

ここまでの試作もバッチリ美味いのだけど、グリーンという点においては不十分という感覚だ。実際、グリーンレモンやその他の緑色柑橘のマーマレードや、なんならグリーンキウイのジャムでも、売っているものの中には着色料を使っているわけでもないのに鮮やかな緑が美しいものがある。そこにまったく届いていない。

それはそれ、でもいいのだけど、これ、今回もマーマレードアワードに出すつもりなので、その評価軸として「使う材料と見た目のイメージ」がとても大事になってくる。グリーンをきれいに仕上げることに技術が必要なことはジャム界隈の常識、つまりグリーンレモンとグリーンキウイを材料に選んだ時点で「これはグリーングリーンマーマレードです!このグリーンを見て!」と宣言しているに他ならない。もちろん目が肥えた審査員なので、「そんなに大口叩いてこの程度のグリーン具合?」と見られてしまっては評価につながるどころか逆効果だ。

 

というわけで、今年のマーマレードアワード出品用にはイエローのレモンとグリーンキウイのミックスマーマレードということにした。まあグリーンレモンがもう無いのでは仕方ない。

 

レモンは愛媛県今治産をお取り寄せ。キウイは近所の八百屋で買った長野県産。特に強いこだわりはないです。

 

レモンは切って果汁を搾って外果皮を茹でて刻む。グリーンだとやはり固い傾向にあるので刻んでから茹でるようにしていたが、黄色く熟したものなら大丈夫かな?と軽い気持ちで先に茹でてから刻んだ。ラクなので。

あとここで、思い付きで1個だけ余ってたライムも入れた。果汁を搾って、皮も一緒に茹でる。ただ、刻んだ皮は使わないことに。

 

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(2時間茹でて、半日置いた。)

 

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(カットは形をして揃えて2mm厚くらい)

 

キウイも刻む。少し固めだけど、キウイは完熟してしまうと甘すぎる感じになるので丁度よい。生食するには早い。

 

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キウイをレモンの茹で汁に入れて火にかけ、柔らかくなったらヘラで軽く潰す。好みで。

それから刻んだレモン果皮を入れるけど、レモン果皮入れてから決して潰さない。ピールの美しさが損なわれるので。

 

全重量の70%のグラニュー糖、今回は計算結果が998gと出たので一袋使った。ラクで良い。このグラニュー糖を3回に分けて溶かしながら加える。しかし流石に多くないか。

煮立てて温度測ってじゅうぶん煮詰まってるのを確認したら、最初に搾っておいたレモンとライムの果汁を加えて5分ほど煮詰めて出来上がり。なんか今回えらいスムーズだったな。なんでだろう…。

 

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これはこれで見た目かわいいのだから良いのである。

 

そして味が良い。

ライムが微量ながらいい仕事してる。

 

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