2022-03-11 ダイダイ&ゆずマーマレード
ヒマラヤあたりが原産の柑橘で、東に進んで中国経由で日本に渡ったのがダイダイ、西方へ伝わったものはビターオレンジと呼ばれる。英国のクラシックなマーマレードの主役たるセビルオレンジがビターオレンジの一種であり、つまりダイダイとセビルオレンジは系統的に近縁。それならなんとなく雰囲気的に似てるかなーと思い、実際に作るとなんとなく仕上がりの雰囲気が似てるので気に入って、ここのとこ毎年ダイダイをお取り寄せしてマーマレードを作ってる。
ただ、もっとも一般的なダイダイの使用法は、鮮やかな色を愛でる鏡餅の飾りと、酸味の強い果汁を利用したポン酢。果皮を使うマーマレードにするとけっこうクセがあるので、グレープフルーツやレモンなんかを混ぜると良い具合に風味がまとまるのだけど、ならば同じように和風の雰囲気を纏うゆずの香りをぶつけたらどうなるだろうか。まあ「ゆずポン酢」も普通にあるのだし、イケるやろ。
で、前回の「グレフル&夏みかん&レモン」ように思いつきの組み合わせで上手くいくこともあるが、まあ、事はそう簡単ではなかった。
出来上がりを舐めると、ダイダイとゆずが、だいぶケンカしてますね…香りが良いといえば良いのだけど。ゆずの量を抑えつつ、何か…例えばリキュールなどで風味をまとめる必要がありそう。マーマレードでリキュールを使うレシピは多くて、普通はコアントローやグランマニエなんかを仕上げに少量入れるのだけど、わたしはなんとなく避けてきた。それは「果実の風味100%」というところとズレてしまう印象からなんだけど、今回のようなこともあって、最近は積極的に使いたい気分になってる。ミックスで作るマーマレードであればそこまで抵抗ないし、全く残念なことにリキュール入れると実際に風味の奥行きが違うんである。
ところで、今回ダイダイゆずを煮るにあたって、↓の記事で言及した「それぞれの柑橘でカットを変える」を加工技術としてちゃんとやってみました。
まず、ダイダイは果皮が分厚く、ゆずは薄い。見た目と食感を揃えるために、ダイダイにひと手間加える。薄いものを厚くはできないので、厚いものを薄い方に合わせにいく。
ゆずはシンプルに刻むが、ダイダイは内果皮1mmほど残して削ぐ。いつもは屑が出ないようにスプーンで削り取るだけなんだけど、今回はナイフでがっつり削ぐ。これは、最初からこういう指示のレシピも結構あって、確かにこのほうがきれいに仕上げやすいかもしれない。個人的には内果皮の白い部分が残る方が、見た目が好きなんだけど。とにかく今回はゆず果皮との相性を考えて薄く細くする。
こんな↓感じで(右から順に)切っていくとやりやすかったですね。
それから茹で時間も、ゆず果皮はダイダイに比べるとかなり柔らかいので、ダイダイを茹で始めて、30分くらい経ったところでゆずを加えて合わせてさらに30分茹でる。
ペクチンはじゅうぶん量があったので、グラニュー糖を70%加えてから目標の糖度まで煮詰めて、ゼリーはきれいに固まった。ダイダイもゆずも果汁が少なめなので、pHが下がらない心配をしていたが、果汁の酸性自体が強いのか、こちらも問題なし。
まあ、この辺の工程に関しては何の問題もなく、というかむしろここ最近の経験がじゅうぶんに活かされて大変に上手くいきました。
が、如何せん仕上がりが上記の通りでございまして。